香水を10本以上持っているのに、組み合わせは2〜3パターンしかない人へ
香水を10本以上持っていても、実際に試している組み合わせは2〜3パターンだけ。多くの香水好きが、この壁にぶつかります。
10本のコレクションは、レイヤリング(重ねづけ)を覚えると組み合わせが45通りに増えます。20本なら190通りです。これだけのバリエーションを、これまでの2〜3パターンに留めておくのはもったいない話です。
ただし、レイヤリングは単純な「足し算」ではありません。相性の悪い2本を重ねると、両方の香りが死んでしまうこともあります。
この記事では、Jo MaloneとLe Laboの実在の名作3本を軸にした中級者向けのレイヤリング5パターンと、失敗を避けるための注意点を解説します。
この記事でわかること
- レイヤリングが「足し算」ではない理由
- 中級者向けの重ねづけパターン3つの具体例
- やってはいけないレイヤリングの注意点
レイヤリングはJo Maloneが広めた香水文化
レイヤリング(重ねづけ)を香水の楽しみ方として広めたのはJo Maloneです。1980年代後半、ロンドンの自宅でフェイシャルトリートメントを始めたジョー・マローン氏は、顧客に「あなたに合うように香りを2本ブレンドします」と提案しました。
当時の高級香水は「単独で完成された香り」を前提としていたため、意図的に重ねるという発想は調香師の流儀から見れば異例のものでした。
それでもJo Maloneは1994年に「コンバイニング(Combining)」という概念を打ち出し、ブランドの中心的価値観として定着させました。結果、香水は「完成品」から「素材」に変わり、コレクターの楽しみが買う行為から組み合わせる行為に拡張されました。
現在ではこの文化はJo Maloneを越えて、Le Labo、Frederic Malleなどニッチブランド全体の楽しみ方として定着しています。
中級者の5パターン|実在の名作で組む
ここから、香水を10本以上持っている人が試すべきレイヤリングの代表的な3パターンを紹介します。すべて、実在の名作香水での組み合わせを前提にしています。
軸にする3本は次のとおりです。
・Jo Malone「イングリッシュ ペアー & フリージア」(11,880円) ・Jo Malone「ピオニー & ブラッシュ スエード」(16,500円) ・Le Labo「サンタル33」(26,400円)
どれも単独で完成度が高い香水ですが、重ねることで奥行きが出ます。レイヤリングの基本を覚える入口として最適な3本です。
中級者のレイヤリング3パターン
朝の身支度のときに、ボディクリームを塗った肌に「イングリッシュ ペアー & フリージア」を1プッシュ。15分ほど時間を置いてから、シャツの内側に「サンタル33」を1プッシュします。
フレッシュな洋梨の香りが朝の最初の30分を担当し、午後にはサンタル33の白檀が立ち上がってきます。1本目が薄れる頃に2本目が前に出てくる、時間差を利用したレイヤリングです。
会議や打ち合わせで午後3時頃に「いい香りですね」と言われるのは、たいていサンタル33の残り香です。
Jo Maloneが公式に推奨しているコンバイニングのひとつです。ピオニーの華やかさに、洋梨のみずみずしさを重ねます。
手首に「ピオニー & ブラッシュ スエード」を1プッシュした後、ヘアミストとして「イングリッシュ ペアー & フリージア」を髪に軽く吹き付けます。重なった瞬間、ピオニーの輪郭が一段柔らかくなります。
どちらも単独で美しい香水ですが、重ねると「香水に詳しい人だな」と気づいてもらえる組み合わせです。
雨の日のレイヤリングは、湿度との戦いになります。シャツの内側に「サンタル33」を1プッシュ、髪の毛先に「イングリッシュ ペアー & フリージア」を1プッシュ。
湿度が高いと、サンタル33の白檀がより濃く立ち上がります。そこに洋梨のフレッシュな香りを髪から漂わせると、湿った空気が一瞬軽く感じられます。
雨の日でも香りが映える組み合わせを覚えておくと、天気で気分が下がる日にも香水を楽しめます。
レイヤリングの注意点|やってはいけない3つ
ここまでの3パターンを試すと、レイヤリングの楽しさがわかると思います。ただし、デメリットや注意点もあります。
1つ目は、3本以上を同時に重ねないこと。中級者でも事故率が高くなります。香りの方向性が散らばり、体臭と混じって異臭になることがあります。重ねるのは2本までが鉄則です。
2つ目は、香り付きのボディクリームと香水を一緒に使わないこと。土台が荒れて、組んだ香りの設計が崩れます。ボディクリームは無香料か、香水と同じブランドのものを選んでください。
3つ目は、レイヤリングを覚えた後も、たまに単独使いの日を作ること。レイヤリングに慣れすぎると、単独で完成された香水の良さを感じにくくなります。週に1〜2日は1本だけで朝を迎える日を意識的に作るのがおすすめです。
レイヤリングは強力な技術ですが、扱いに自覚が必要です。
よくある質問
Q. Jo Malone同士のレイヤリングが王道なのはなぜですか?
A. Jo Maloneはコンバイニングを前提に香料を組成しているため、ブランド内で重ねても破綻しにくい設計になっています。他ブランド同士のレイヤリングは、香りの設計思想が違う前提で慎重に組み合わせる必要があります。
Q. Le LaboとJo Maloneは重ねていいですか?
A. Jo MaloneはEDC(オーデコロン)濃度、Le LaboはEDP(オードパルファム)濃度です。濃度が違うので、Le Laboを内側、Jo Maloneを外側に置くと時間差で香りが立ち上がります。逆の組み合わせは失敗しやすいので注意してください。
Q. 1日のうちに何回まで足していいですか?
A. 朝の1回で完結させるのが基本です。途中で足すと、最初に組んだ香りの設計が崩れます。香りが弱くなった夕方は、足すのではなく一度シャワーで洗い流してから新しい1本を選ぶのがおすすめです。
まとめ|10本のコレクションを45通りに広げる
今回は中級者向けのレイヤリング3パターンと、失敗を避けるための注意点を紹介しました。
10本のコレクションがある人は、レイヤリングを覚えるだけで明日から45通りの組み合わせが楽しめるようになります。同じ香水でも組み合わせを変えるだけで印象が変わるので、コレクションをもう一度見直すきっかけにもなります。
Jo Maloneのコンバイニングをさらに深く知りたい場合は、ブランド徹底解説の記事も参照してください。Le Laboの全ラインナップを比較した中級者向けの記事も、別途公開しています。
